ネットワーク理論から組織力強化を考える

最近の企業の人材育成のトレンドは、個々人のスキルアップやスーパープロフェッショナル養成という個人の能力やモチベーション向上という考え方ではなく、自主的な協調性の育成や”引っ張る”ではなく”引き出す”型のリーダーシップ育成などチーム力・組織力を高めるという考え方が主流となりつつあるように感じている。

 

ところで、ある組織内の人間関係をヒューマンネットワークとして捉えた場合、規模がある程度以上の大きな組織、つまり大企業の場合は一般社会と同じ特徴を持つと考えられる。つまり、ネットワークの中心部には濃密な交流型の人間関係を保持する中心的人物がいて、その人間とのつながりの延長線上には外延部に至るまで多数のサブネットワークが存在し、いちばん外延部にはポツポツとネットワークにかろうじて繋がっている個人がいるという図式だ。

 

さて、組織全体の活性化や強化を企業が行おうとする場合、通常はどういうアプローチをとっているのだろうか?

自分はコーチングの専門家ではないので定かではないのだが、経営者としての経験から、一般的にはネットワークの中心部から外延部に働きかける流れを支援するというアプローチがとられているのでないかと思う。

 

社会ネットワーク理論から考えると、もしかしたら逆のアプローチの方が効果的なのかもしれない。つまり、外延部にかろうじて繋がっているような個人をネットワークにきちんと結び付けることを最初から狙っていくアプローチだ。いってみれば一匹狼的な人材を組織に取り込む工夫ということである。

 

前者が人間組織というものを自然再生能力がある性善説的に捉える考え方だとすると、後者は性悪説だといえる。というのはヒューマンネットワークは放っておけば必然的に外延部からほころぶという考え方だからだ。

 

この考え方はニューヨークの犯罪発生率低下で証明された割れ窓理論に通じる。

 

具体的にどのようなプログラムが有効なのかは知らないが、概念的には一匹狼を強引に中心部に結び付けるのではなく、一匹狼的どおしを結び付けサテライト的なネットワークを形成し、サテライトと中心部を強力な重力で結び付けるという考え方なのではないかなあと思う。

 

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